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タイトル 幻想館・別館 (幻想館)
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メディアコード: TXP799
★★★☆☆  
コメント コメント

1.  名無しさん  2008年07月21日20時31分
 遅くなりました。「太陽のコルヌコピア」をやっと読み終わりました。
 全体の印象として、「もったいないな」という気持ちを強く抱きました。
 美術の世界の話やチェルノブイリ原発事故に関する情報などは本当によく調べられていて、参考になることも多くありました。また、登場人物も個性的でうまく書き分けられていて、作者が制作にかなりの時間と労力をつぎ込んだことが一目瞭然です。細かくはチェックしていないのですが、文章もプロレベルに達していると思いました。
 しかし、ストーリーの根幹に問題があって、これでは大手出版社のエンタメ・ミステリー系の新人賞を受賞するのは難しいのではないかと感じてしまいました。以下では、新人賞受賞作としては物足りないと感じた部分を中心に指摘することにしますので、必然的に酷評になることをご了承ください。
 国際謀略小説を書く場合、国際関係に関する最低限の常識を踏まえる必要があると思います。大人の読者が読んで、こんなの絶対ありえない、小説としても楽しめないという感じたとしたら、それだけでアウトになるのではないでしょうか。アメリカ本土に核を打ち込むという計画が米露政府の策略だったという筋書きには荒唐無稽なものを感じます。小さなミスにすぎないのですが、『九・一一後にアメリカは屁理屈をこねてイラクに侵攻した』という記述を読んだとき、作者は国際関係のことなど何も知らず、小説を書くために必要なことを調べただけではないかという不安を覚えました。
 何が「最低限の常識」かについて客観的、明確な基準があるわけではないし、人によって感じ方は異なるでしょうが、個人的な意見としては、仮に本作品が最終に残ったとしても、複数の選考委員がこの点だけで授賞に反対するのではないかと考えます。
 また、三人が計画を阻止するために命がけで戦う理由が弱いと感じました。そもそも大事を前にして、ラファエリの絵を動かしただけで、ニニらが動き、しかも計画の内容を高科に話してしまうところから納得できません。後で一応の説明が出てきますが、こじつけとしか感じられず、ニニの人物設定にブレを覚えてしまいます。どうせだったら、ニニは立場上計画に協力せざるを得なかったが、なんとか計画を阻止しようとして仲間を裏切り、高科らを利用したという設定の方がわかりやすい気がします。
 さらに、学芸員にすぎない洋子がチェルノブイリに行きたいと言い出すところは、「あり得ない」とため息が出そうになります。モスクワ行きも同様です。作者も無理だと感じつつ、何とかごまかそうとしているが、徒労に終わっているという印象です。結末が変わってしまいますが、洋子は実はニニの一味だったとか、CIAのスパイだったといったひねりがあった方がいいのではないでしょうか。
 本作の設定でも、漫画原作やライトノベル、あるいは架空戦記などのノベルスなどでは許されるかもしれませんが、新人賞を狙うのであればもっと読者が納得しやすい設定を考案してほしいと思います。
 端的に言えば、前に引用した内容紹介の一文だけで、本作が新人賞では苦戦することを予測できるのです。しかもその一文の内容は中盤のモスクワ行きの直前に明らかにされ、そこから先のストーリーは一本調子で結末の意外性が何もありません。フォー・キャッツのメンバーには四者四様の過去と思惑があり、それぞれの結末を迎えるという点は、なかなか興味深く、プロとして通用する十分な筆力や工夫の跡を感じましたが、大きな方向がすでに見えているため、その面白さが限定的になってしまっていると感じました。どんでん返しや結末に影響するような大きな仕掛けがないのが残念です。核戦争の計画は高科らを利用するための全くのほら話であって、米露政府は何も関わっておらず、フォー・キャッツの目的は、別のところにあったという筋立てもあるかと思います。

 また、作者のいう「伏線」が、説明を後回しにして、ストーリに違和感を与えているだけになっているのが残念です。それなりに話の辻褄が合ったとしても『だから何?』で終わってしまいます。序盤でニニがバーンズの夢を見るシーンなどは訳がわからず、後の説明で納得はしましたが、斜め読みするしかないシーンでした。日向の知覚力(アウェアネス)の説明も後出しにする必要を感じませんでした。洋子やニニが高科を簡単に好きになってしまうのも、ご都合主義の産物と思えて興ざめでした。
 これは読み手である私の能力、好みの問題も大きいのですが、序盤から中盤にかけて話が見えずに読み進めるのが何度か苦しくなりました。説明が後出しだったり、だいぶ前に書かれていることが浮かばなかったりで、混乱しそうになり読み疲れが生じるのです。例えば、複数の呼び名を持つ人物が多いため、うまく思い出せないこともありました。
 重要でないシーンや回想シーンはもっと簡潔に書いてほしいと思いましたし、捨てキャラについては名前を出さずにあっさり描いてくれた方が読みやすいです。
 終盤になってスコルテン司令が出てきてからは話がしっかり見えて、最後まで一気に読めました。スコルテンとガスリーとのやり取りはなかなか面白かったのですが、クライマックスシーンとなるガスリーと日向の対決を省略してしまったのはなぜでしょうか。正直言って肩透かしを食らった思いです。意地悪な目で読めば、アクションシーンを書く自信がなかったので逃げたのではないかと推測できます。しかも、下記の記述にはご都合主義というか、アイデア不足を強く感じてしまいました。
>幸い、ガスリーが日向に止(とど)めを刺すために必要な余力と時間は、もう残されていなかったらしい。
 肝心なところでこれではがっくりしてしまいます。
 さらに、核戦争が始まるというのに、スコルテンが『叫び』の在処を気にしているのも違和感を覚えました。ラストの落ちに結び付けようという作為なのでしょうが、ここでは核戦争による原油価格の高騰を当て込んだ原油の買占めといった話が出てきた方がふさわしいのではないでしょうか。

 総じて言えば、作者には小説を書くのに必要な技術は十分にあるが、読者にミステリーの面白さを感じさせるためのストーリー作りという点での努力が足りなかったと感じます。ユーモアミステリーやノンストップアクション物であれば、ご都合主義的なストーリーも認められるのでしょうが、本作のように資料を重視した作品では大きなマイナス点になると思います。

 とりあえず以上です。感想返しは特に気になった部分だけで結構です。また何か思いついたら再訪するかもしれません。
 ちなみに、だいぶ前に、「すでに未来は閉じていた」を読んで感想を書いた記憶があります。ほとんど変わっていないようですが、大きな修正はなかったのでしょうか。


2.  幻想館  2008年07月22日01時57分
>>1様、感想ありがとうございました。作者が曖昧にぼかしていた点や、どう修正すればいいのか分からず放置していた点などが随分判明しましたので、是非、今後の改稿に役立てたいと思います。

>(前略)作者は国際関係のことなど何も知らず、小説を書くために必要なことを調べただけではないかという不安を覚えました。
 大変、耳の痛い指摘です。チェルノブイリや9・11にまつわる騒動に関して調べているうちに、米露(or米ソ)政府のあまりのいい加減さと傍若無人ぶりを知るにつれて、日頃は「他人が死のうが生きようが知ったこっちゃないもんね~」とヘラヘラしている自分でさえ義憤に身を震わせてしまい、筆がすべり過ぎました。引用されている高科の台詞も含めて、事実誤認のチェックなども行い、あちこち修正してみます。

>ラファエリの絵を動かしただけで、ニニらが動き、しかも計画の内容を高科に話してしまうところから納得できません。
 痛たたた! 確かにその通りです。実は上記の感想を読んでいて、一番打撃を受けたのがここでした。自分でも、「うーん、なんか変だな。どうしてだろう?」と首をひねっていた箇所だったのですが、ようやく得心しました。腹案はいくつか浮かびましたので、なるべく早く辻褄合わせをしておきます。

>学芸員にすぎない洋子がチェルノブイリに行きたいと言い出すところは、「あり得ない」とため息が出そうになります。
 うーん…。確かに、もうちょっと洋子用の動機付けができないものかなと、自分でも悩んでいた所でもあります。「実は洋子は××だった」という属性を補完すると、更にその説明でボロを出しそうなので、既存の会話部分等をもう少し掘り下げて、対処してみようかなと思います。

>漫画原作やライトノベル(略)では許されるかもしれませんが、新人賞を狙うのであればもっと読者が納得しやすい設定を考案してほしいと思います。
 これも耳が痛いです。私は小説を書くたびに「これは××さんに漫画化して欲しいなぁ。○○さんでもいいや」などと妄想してしまう不埒者なので、その手の煩悩がにじみ出てしまった感があります。

>そこから先のストーリーは一本調子で結末の意外性が何もありません。(略)大きな方向がすでに見えているため、その面白さが限定的になってしまっていると感じました。(略)
 これは私も感じました。大きなどんでん返しや、フォー・キャッツの四者を絡める横糸をもう少し入れたかったのですが、上手くいきませんでした。完全に作者の力不足です。
 ただし、核戦争危機に関しては、これを外すと「太コル」最大の売りが消えてしまいますので、ちょっと現状では(荒唐無稽ではあっても)ハズせないです。

>また、作者のいう「伏線」が、説明を後回しにして、ストーリに違和感を与えているだけになっているのが残念です。
>序盤でニニがバーンズの夢を見るシーンなどは訳がわからず、(略)斜め読みするしかないシーンでした。
 うーん、なるほど…。構成の都合上、ここもちょっとハズせないので、前後にもう少し解説を入れて、今よりは分かりやすくしようかと思います。

>日向の知覚力(アウェアネス)の説明も後出しにする必要を感じませんでした。
 日向のアウェアネスの大まかな説明や彼の師匠については初登場時に簡単に書いてあるので、多分そのことではなくて「×××」(一応伏字で…)のことだと思いますが、確かに唐突過ぎるかもしれません。これは、傭兵稼業が終わったあとにビッグファザーより授けられた技術なのですが、回想の地の文だけで説明しているので、もう少し分かりやすくできないものか考えてみます。

>洋子やニニが高科を簡単に好きになってしまうのも、ご都合主義の産物と思えて興ざめでした。
 そうですね。この辺も、もう少し文章を補完して、多少はご都合主義濃度を薄めるよう努力してみます。

>捨てキャラについては名前を出さずにあっさり描いてくれた方が読みやすいです。
 ここは相当悩みました。実は私は、捨てキャラにもきちんと名前が付いていないと物語に感情移入しにくいタチなのです。(これは他人様の小説を読む場合も同様です)
 で、必然的に、殆どのキャラに名前が付くことになったのですが、やはり少々鬱陶しかったみたいですね。読み直してみて、直せそうなら直しますが、本作に関しては多分無理だと思います。無念。

>クライマックスシーンとなるガスリーと日向の対決を省略してしまったのはなぜでしょうか。
 うーん…。私はバトルシーンを書くのは(巧拙はともかくとして)大好きなので、決して逃げたつもりはないのですが、ストーリーを早く進めたくて日向の回想でまとめてしまったのが誤算でしたかね。ここを修正すると他の部分の構成も狂ってくるので、じっくり考え直してみます。

>原油価格の高騰を当て込んだ原油の買占めといった話が出てきた方がふさわしいのではないでしょうか。
 9・11のシナリオは欧米やアラブの政商達も心得ているので、それはちょっと無理ですね。でも、それを示唆する説明やエピソードが本文中に殆ど(あるいは全く)書かれていないので、その辺は修正してみます。

 ……こんなところでしょうか。この感想返しを書いているうちに気づいたミスや書きそびれもありましたので、そちらも加筆修正する予定です。

 なお、
>「すでに未来は閉じていた」を読んで感想を書いた記憶があります。ほとんど変わっていないようですが、大きな修正はなかったのでしょうか。
 …とのことですが、初掲載時に、投稿規定に合わせるために泣く泣く削った部分を10枚ほど再追加した意外、根幹では特に大きな変更はありません。
 もっとも枝葉の方は、誤記や誤字脱字の修正をしたり、感想を参考にして読者に分かりにくそうな表現を改めたりして、結構変えました。特に後半1/3くらいがゴチャゴチャしてましたので、直せるだけ直してはみました。

 以上です。また何かありましたら、ぜひ書き込んでくださいませ。m(_ _ )m

3.  名無しさん  2008年07月31日00時16分
「ジャンクシティ・ブルース」を読み始めたのですが、100枚もいかずに挫折しました。私の読力に問題があることが原因です。洋物はなかなか入り込めず集中力が続きません。カタカナが多いとそれだけで苦痛を感じてしまうんです。また、ミステリーの通常の体裁から外れた作品であることや、場面転換が多く、登場人物が把握しにくいことも一因です。今後、再挑戦するかどうかわかりませんが、人物表があればありがたいなと思いました。
 途中まで読んで感じたことを一つだけ言わせてもらいます。
 アンディ・ウォーホルについて、私は名前とモンローの絵に代表されるイメージ程度しか知りませんでした。かなりの変人で経歴を詐称したり、替え玉を使ったりしていたことや、銃撃事件があったことなどは、本作を読みながら調べ、初めて知りました。その意味で本作はかなりマニアックな作品ではないかと感じています。どこまでが現実の出来事でどこからが作者の創作、仮説なのかがわからないと作品世界に入るのが難しくなります。舞台設定にもっと工夫が必要ではないでしょうか。

4.  幻想館  2008年08月01日12時42分
 #3様、感想ありがとうございました。読みにくい話でお目汚しをしてしまって申し訳ありません。
 作者としては、アンディ・ウォーホルの名前を知っている程度の人でも読めるように十分配慮したつもりだったのですが、力不足でした。
 一つの小説内で三つのストーリーが並行して進んでゆくという形態をとっているため、必然的に場面転換が多くなってしまいました。ただ、あまり一つの場面が長々と続いても読者がダレてしまうだろうし、難しいところです。
 解説や資料リストを付けようかとは考えていましたが、人物表も入れてみようかと思います。

>どこまでが現実の出来事でどこからが作者の創作、仮説なのかがわからないと作品世界に入るのが難しくなります。(後略)
 多分、この小説の一番の問題点はここなのでしょうね。虚構と事実(※この場合、資料に記載されている出来事という意味。実話とは限らない)の線引きをはっきりさせなくても別に大丈夫だろうとタカをくくっていたのですが、甘かったようです。
 「ジャンクシティ・ブルース」に記されているのはフィクション(創作)とノンフィクション(事実)だけです。仮説はありません。もしかしたら、ヘミングウェイ・ペーパーの行方がこの本に書かれている通りだったりするかもしれませんが、その可能性は100億分の1もないでしょう。
 基本的には、本作内の「フィクションのアンディ銃撃事件」に関連する出来事や登場人物はすべてフィクションです。
 ヘミングウェイが死の世界から蘇ったことは無論フィクションですが、それ以外では…

 *ベティ、乞食のジャック、プラマー、バー・ハリケーンとそこの全従業員(ジョー、ホセ、サラ、ファニータ、バーに訪れた人物(トーマス・レムリ、ギルモア))、黒人警備員、セイン。
 *ヴァレリー・ソラナスが資金援助を得てオフィスを借り受け、男を狩る女に銃を与えていたこと。
 *ヘミングウェイが高校時代に幻の処女作を書き上げていたこと。

 …などはフィクションです。一番上のはともかく、残り2つは分かりにくかったかもしれません。

 ヴァレリーの生い立ちと学歴、SCUMの設立経緯と宣言文、物乞いで生計を立てていたこと、ベトナム負傷兵を侮蔑していたことなどは、殆ど実話です。LAST PARTの「現実のアンディ銃撃事件」に関しては、ヴァレリーの自首シーンに少しだけ脚色しましたが、他は完璧にノンフィクションです。

 アンディに関しても、ベティとの出会い以外は、(時系列は若干ズレていますが)ほぼノンフィクションです。日本製のオモチャのこと、通行人に鳥のエサを配っていたこと、大学に秘密の抜け道を勝手に作っていたこと、男性器の写真を撮るのが趣味だったこと、ビッ○は男に金を払うべきだと言っていたこと、…他にもたくさんありますが、全部実話です。ウルトラ・ヴァイオレットも同様です。

 ヘミングウェイに関しては、高校時代に書いた小説で父親から叱責されたという部分以外はノンフィクションです。彼が六本指の猫を集めて、有名人の名前をつけてキーウェストの邸宅で飼っていたというのも事実です(キーウェストのヘミングウェイ邸では、いまだにこの猫達の子孫が飼われています)。激怒したヘミングウェイがプールに1セント硬貨を投げつけたため、生乾きのコンクリートにハメこまれたというのも実話です。
 地下バーの場面で挿入されている、ビング・クロスビーが「ここにジュー(ユダヤ人)はいねえか!」と歌謡ショーで客席に叫んでいた逸話もノンフィクションです。また、トーマス・レムリは架空のキャラですが、彼の叔父ということにしたカール・レムリは実在の人物であり、その経歴も本文の通りです。

 構成をガチガチに固めてしまってあるため、これを崩すのはかなり難しいのですが、人物表の添付や関連資料の紹介も含めて、もう少し可読性を上げられないか考えてみます。

5.  名無しさん  2008年08月03日00時04分
『ダウザー ――カルダーノの蛇――』を 読みました。
 文章はさすがだと思いましたし、中国拳法に関する部分も良く調べているんだなと感心しました。密室トリックは偶然を利用しているため、人によって評価が分かれるかもしれませんが、最近の本格ミステリーの傾向を考えれば、十分鑑賞に堪えられるレベルに達していると感じました。また、動機に関わる親子関係、兄妹関係も興味深く描かれています。真相解明がダウジングのような一種の超能力に依存する作品は、新人賞では不利に扱われるおそれがあると思いますが、本作品ではそれほど不満は感じませんでした。文章、トリック、動機とミステリーの中核部分がしっかりしているので、この作品が新本格推理で一次通過レベルでとどまるのはおかしいと思いながら読み進めたのですが、終盤でいろいろがっくりしてしまいました。もったいないなあと思います。


以下、ネタバレも含みますのでご注意ください。


 まず不満を覚えたのは設定です。真犯人を知っている皐月が不思議な点があるからといってわざわざ探偵を雇うかという疑問です。ちょっと考えれば、泰造が手を回したと気付きそうですし、10万円の調査料というのも無理があります。
 また、
>山野は否認した。小川に会いに行ったら、もう殺(バラ)されてたってよ。
 密室じゃなかったの? どうやって部屋に入ったのか?

>彼女の車にベンツを衝突させろと彼らに命じたのも、あなただ。
>暴力団員に嘘の事故時刻を証言させて、山野さんが早めに無罪になるように計画を修正した
 意味が良くわかりませんでした。

>彼女の世話は、今後は我々新華林が引き受けましょう。
 簡単なことではないはずです。都合が良すぎると感じます。

 他にも違和感を覚える記述がいくつかありましたが、新本格ミステリーには漫画的な作品も少なくないので、首を傾げつつも疑問点を具体的に挙げるのは遠慮しておきます。以下では客観的に明らかな問題点、つまり法律上の誤りだけ指摘しておきます。

>刑法第九七四条の虚偽届出罪
 これはいくらなんでも困ります。「公正証書原本不実記載罪」で検索してみてください。ちなみに、本作のケースでは公訴時効が成立していますよ。
 でたらめとわかって書いているんでしょうが、それだったら何も書かない方がずっとましです。

>傷害未遂罪にすら相当しません。
 ウィキペディアでもいいから調べる癖をつけてください。傷害罪に未遂処罰規定はありません。暴行罪になります。ここも無理に罪名をあげる必要がないと思います。

>『一事不再理』の原則もある
 一事不再理(いちじふさいり)とは、ある事件について、確定した判決がある場合には、その事件について再度、実体審理をすることは許さないとする刑事訴訟法上の原則。この原則に反して公訴の提起がなされた場合には、免訴の判決が言い渡される。二重危険禁止とも呼ばれる。(ウィキペディアから引用)
 山野皐月や小川里緒が起訴されて無罪になったという記述はありませんよ。

>証拠隠滅罪
 これは結論として、誤りとはいえませんが、下記の点を確認しておいてほしいところです。
http://park.geocities.jp/funotch//keiho/kakuron/kokkanosayo1/hanninzoutoku_shoukoimmetsu/shinzokutokurei.html

 法学部出身でなくとも、公務員試験や資格試験を受けるため、民法や刑法を勉強したことのある人はたくさんいるはずです。小説であっても、社会人としての最低限の常識を踏まえることは当然要求されるはずです。罪名を挙げるときはネットで確認する程度のことはすべきではないでしょうか。
 

6.  名無しさん  2008年08月03日07時23分
感想を読み返してみて、酷評になりすぎたと少し反省しています。コメント欄を読んで、作品を読むのが嫌になる人がいるかもしれませんね。
作者の筆力からどの作品も予選通過は当然だと思っています。読ませてもらって勉強になったことがたくさんあります。私の感想はそれを前提にしたうえで、入選できない理由はどこにあるかを探ろうとするものだと理解してください。

書き落としたことを一つ付け加えます。
終盤で密室の謎が解明されるのですが、中盤ですでに真犯人を含めて事件の真相がほぼ明らかになっているため、驚きがあまりありません。密室の謎が解かれることによって、意外な真犯人が最後に浮かび上がるという構成の方が面白いのではないでしょうか。

7.  幻想館  2008年08月04日02時49分
>>5様、感想ありがとうございます。酷評でも全然かまいませんので、いくらでも書いてくださいませ。

>真犯人を知っている皐月が不思議な点があるからといってわざわざ探偵を雇うかという疑問です。(略)
もちろん、泰造が手を回していることには気づいています。皐月が気になったのは、なぜ泰造が彼女の罪をもみ消してくれたのか、なぜ小川が殺害されたあとに部屋が密室化されたのか。こういった件の裏に、何か大きな謎があるのではないかということです。また、彼女は能動的に探偵を雇おうとしたのではなく、不可思議な事象を引きつけるリュウの魔力に呼ばれたのだと解釈してください。

>10万円の調査料というのも無理があります。
確かに探偵だけで食っているなら無理がありますね。ただ、リュウの目的は、楊大人の命により、探偵業を通して心意哲学術を極めることであり、金額の過多は問題ではありません。10万円というのは、ひやかし客防止のために最低ラインとして設けた金額だとお考えください。リュウや蘭蘭の捜査費や生活費等は、新華林が全て面倒をみるという設定になってます。ただ、言われてみればその手の説明が全然ないので、あとで追加しておこうと思います。

>>山野は否認した。小川に会いに行ったら、もう殺(バラ)されてたってよ。
>密室じゃなかったの? どうやって部屋に入ったのか?
殺人が行われている間は密室ではなかったが、殺人後に密室になってしまったということです。だから厳密には「密室殺人」ではないので、アルファポリスの宣伝文句は嘘になってしまうのですが、他にいいコピーが思いつきませんでした。

>彼女の車にベンツを衝突させろと彼らに命じたのも、あなただ。
>暴力団員に嘘の事故時刻を証言させて、山野さんが早めに無罪になるように計画を修正した
 最初は皐月にアリバイを作らせないために泰造の命令で事故を起こしたのですが、小川英司の部屋がいつの間にか密室になったので、このまま皐月に罪を着せるのは無理そうだし、里緒に捜査の手がいっそう伸びるのはもっと困るということで、虚偽報告をさせた…ということなのですが、この辺は自分でもちょっとややこしいと思うので、もうスマートなやり方を考えてみます。

>>彼女の世話は、今後は我々新華林が引き受けましょう。
>簡単なことではないはずです。都合が良すぎると感じます。
 この感想全体の中で、一番びっくりしたのがここです。百人くらい面倒をみるというなら、それなりに説明もいるでしょうが、一人でも疑問に思う人がいるとは予想だにしていませんでした。まあ平たく言うと、新華林というのは、それだけ巨大な組織だということです。いずれ、作中で説明を補完致したいと思います。

>>刑法第九七四条の虚偽届出罪
>これはいくらなんでも困ります。「公正証書原本不実記載罪」で検索してみてください。ちなみに、本作のケースでは公訴時効が成立していますよ。
>でたらめとわかって書いているんでしょうが、それだったら何も書かない方がずっとましです。
 これはちょっとあんまりです。読んでいて悲しくなりました。いくらなんでも、でたらめとわかって書いたりはしませんよ。
 この件に関しては、半日以上ネットで検索してみました。でも、検索キーの設定が悪かったのか、有益な情報がまるで引っかかりません。しかし、最後の最後で引っかかったのが、この「虚偽届出罪」だったのです。改めてネットで調べ直してみたら、これでいけそうだと思ったので使いました。それだけです。ちなみに他の創作仲間にも調べてもらったのですが、その人も釣果ゼロでした。
 でも、おかげさまで「公正証書原本不実記載罪」という言葉を初めて知りました。是非、リライト時に使わせていただこうかと考えております。

>傷害未遂罪にすら相当しません。
 申し訳ありません。これは完全に私のミスです。「傷害未遂」という言葉は結構あちこちで目にするので、誤用とは知らずに使ってしまいました。

>>『一事不再理』の原則もある
>山野皐月や小川里緒が起訴されて無罪になったという記述はありませんよ。
 ありませんね、確かに。この辺は、もう一度『一事不再理』に調べて関して書き直すか、あるいはゴソッと削ってしまおうかと思います。

>>証拠隠滅罪
 サイト情報をありがとうございます。早速読んでみました。
 (30分経過)
 ……うーむ、まずいぞ、全然分からない(汗)。これは、もう少し調べてみます。

>小説であっても、社会人としての最低限の常識を踏まえることは当然要求されるはずです。罪名を挙げるときはネットで確認する程度のことはすべきではないでしょうか。

 おっしゃる通りです。ただ、「既に分かっている罪名を元にして検索をすること」と「ある行為が何かの犯罪であるのか、そうであるなら何罪になるのかを調べること」の間には、とてつもない難易差が存在するということは、どうかご理解くださいませ。
 無論、それを〝逃げ〟にはせずに、今後も法律の勉強は続けるつもりです。

>終盤で密室の謎が解明されるのですが、中盤ですでに真犯人を含めて事件の真相がほぼ明らかになっているため、驚きがあまりありません。密室の謎が解かれることによって、意外な真犯人が最後に浮かび上がるという構成の方が面白いのではないでしょうか。

 本来は、それが一番でしょうんね。ただ、トリックも犯行動機もわからなかったくせに、たまたま目星を付けた人間が犯人だったことで悦に入る、変なミステリーマニアが急増したことに対する憤りから、あえてこういうストーリー(動機もトリックも不明だが、犯人だけは先にわかる)を考えてみました。トリックや動機がわからなければ、犯人を当てても全く意味がないんだよと、彼らに訴えたかったのです。
 また、ネタが途中で割れるのを嫌がるあまり、早めに提示すべき謎を小出し小出しにする姑息なミステリーが増えたことも、このような小説を書く気になった一因です。
 まあ、本作に関しては途中で手の内を晒し過ぎたかなという感はありますので、今後はもう少し提示情報を制限してみようかなと考えています。


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